PCGSの古金銀の鑑定力 その1

 コインの収集形態も昔とはすっかり変わり、好むと好まざるとにかかわらず、スラブ入りコインがその中心になってきました。スラブと言えば、PCGSとNGCですが、日本人はPCGSが好きな人が多そうです。今や日本のコイン相場を牛耳っている中国人は圧倒的にPCGS支持なので、日本ではPCGS優位は動きそうにありません。私にとっても、スラブと言えばPCGSということになります。NGCは日本の古金銀の鑑定を行わないからです。

 さて、そのPCGSの古金銀の状態・真偽の鑑定力は、残念ながら非常に拙いものです。一目で偽物とわかる万延小判がよくスラブに入っています。スラブ自体は本物です。さらに、別座の一分銀を堂々とスラブに入れています。別座は偽物です。もちろん、今収集家を騙すために作ったものではありませんが、幕府や明治貨幣司が作った"本座"製とは明確に区別されるべきものです。好きで別座を収集されるのはもちろん自由ですが、偽物は偽物です。貨幣商協同組合の鑑定書が別座の一分銀に発行されている場合も何度も目にしています。彼らは勉強などしていませんから、本座と別座の区別すらつかないのです。PCGSに入っているから"本物"というのは幻想です。まずは自分の目を養いましょう。ではまた。