PCGSの古金銀の鑑定力 その3

 皆様も御存知のように、この2年ほどPCGSの鑑定に要する年月がとてつもなく長くなっております。代理店によると、これまでの異常な遅れを挽回する体制が整いつつあるという連絡は頂いています。ただ、現実には去年の6月にPCGSに提出したコインがまだ戻って来ていないので、今すぐ戻ってきても1年3ヵ月を要したことになります。コロナ以前は約3ヵ月だったことを考えれば、これは異常です。遅延の理由はいろいろ聞いていますが、定かではありません。

 さて、PCGSの古金銀の鑑定力は、「その1」と「その2」でも述べているように、極めて疑わしい、と言わざるを得ません。古金銀を専門に扱ってきた人なら誰でも感じていることですが、御存知ない方も多いわけです。それがトラブルの元にもなりかねません。

 先日、ヤフーオークションに、ある小判のPCGSスラブが出品されていました。御覧になった方もおられるかもしれません。スラブ自体は本物でしたが、中の小判は偽物でした。正直、見た瞬間に偽物と判るレベルのもので、極印が全く違います。もう一度言いますが、画像を1秒見ただけで偽物と判るレベルのものです。この小判をPCGSは本物としてスラブに入れました。この小判の座人印と棟梁印は「大」「吉」でしたが、この小判に偶然大吉は存在しないのです。西脇康氏も偶然大吉の存在を否定されています。もちろん献上大吉は存在しますが、製作が全然違います。もしこれが本物の小判で、偶然大吉ならば大変な発見です。そんなことぐらい、ほんのちょっと古金銀をさわった人なら誰でも知っています。「その1」でも書きましたが、今までPCGSスラブに入った万延小判の偽物は何度も見ました。でも、大変残念なことですが、古銭の初心者や古銭のことを全く知らない投資家は、日本の古銭商よりも世界的なPCGSのスラブを信用するのかもしれません。このようなスラブが今後どのように流通していくのか、他人事ながら少し心配になります。

 PCGSの鑑定作業にどのような人が、何人で、どのように携わっているのか、私は何も知りません。が、せめて日本の貨幣、特に古金銀の鑑定には日本人の鑑定人を参加させないと駄目だと思いますね。もし今、日本人の鑑定人が携わっているのにこの鑑定力なら、その日本人の責任はかなり重いと思いますよ。

 

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コメント: 2
  • #1

    中島庸裕 (土曜日, 04 11月 2023 18:17)

    PCGSなどの外国の会社が、『別座』とか多い古金銀を鑑定出来る訳がないですよね。
    ただ、コイン鑑定能力皆無のど素人で、金銀図録や三貨図彙など否定し、東京大学研究員なんたら肩書を盾に偉そうに講釈垂れるエセ学者西脇を、如何にも権威ある識者扱いするのはやめて欲しい。
    こいつは、自己の都合の良い史料の断片を、己の妄想で繋ぎ止め、恰も真実のように粉飾し、演繹法で広めるペテン師です。こいつの万延二分金と明治二分金の分類の拙文を読めば一目瞭然で、現存の証拠・傍証・現物精査を悉く根拠なく妄想で否定し、今だに『良質な金位のハネ分は、こうしてこぞって回収されたので現存数が少ないのでしょう』と『妄想』して公言しているバカなので。

  • #2

    明日香津五(店主) (日曜日, 05 11月 2023 11:47)

    コメントありがとうございます。また、宜しくお願い致します。