近代銅貨の魅力 稲一銭青銅貨

 私が長年収集してきた古銭は古金銀、特に一分銀や二朱銀、丁銀や豆板銀です。だから今年の7月にこのサイトを立ち上げたわけですが、もちろんそれだけを収集してきたわけではありません。やっぱり近代銭、特に明治の銀貨は大好きで、ロール出しの完未には今でも惚れ惚れします。少し高くなりすぎましたが・・・。このサイトでもPCGSのスラブ入り近代銭は掲載する予定です。宜しくお願い致します。

 ただ、近代銭の銅貨には興味を持ったことがなく、余り関心もありませんでした。今からちょうど10年前、2013年のことだったと思います。ある古銭屋さんの通販サイトに、明治33年の稲1銭青銅貨のロール出し・完未の画像が掲載されていました。まとめて数枚掲載されていたので「新しくロールが出たんだな」とすぐにわかりました。1枚30000円だったと記憶しています。一目見て痺れましたねぇ。銅貨がこんなにも美しく人の心を引き付けるとは思いもよりませんでした。早速その中から綺麗なものを数枚購入し、PCGSへ送りました。全てMS 66 RDでした。

 それ以後、美しい完未クラスの銅貨を集めるようになりました。銅貨は変色が激しく、色が褪せると価値が急激に下がりますから収集を躊躇される方も多いと思いますが、私は金貨や銀貨とは違う独特の色合いに魅せられました。特に稲一銭青銅貨のデザインに惹かれました。近代銭と言えばやっぱり"竜図"ですが、私は稲一銭青銅貨がお気に入りです。このコイン、珍しいことに"菊紋"がデザインされていません。"菊紋"が無い近代銭はこれと稲五銭白銅貨くらいではないでしょうか。それと、裏の"旭日"を強くプレスし過ぎたせいで、表にそのプレス跡がはっきりと出るんですね。これがなかなか面白い凹凸を生み、稲一銭青銅貨独特の"景色"になっています。稲一銭青銅貨をあまり見たことがない人には何のことかよくわからない話ですが、是非1度御覧になって下さい。

 稲一銭青銅貨は特別な年号を除くとわずか8年号ですが、これをPCGS MS 66 RDで完集しようとすると大変です。論理的には可能ですが、極めて困難な道のりでしょう。入手困難な順に、M35 → M31 → T2 → T3 → T4 → M33 → M34 → M32 で、最初の4年号はかなり困難です。カタログの価値とは全然違います。カタログももう少し現状を反映させないと何の役にも立ちませんね。こういうところがズボラなんですねぇ、組合は。