豆板銀のPCGSスラブ登場

 御存知の皆様も多いと思いますが、とうとう豆板銀(銀座の正式用語では小玉銀)のPCGSスラブが登場しました。需要があるのだから何でも鑑定してやれ、ということだと思いますが、さすがに豆板銀のスラブ化は無理があると思います。その理由は、豆板銀が秤量貨幣であり、大きさが様々である、という点です。さらに、豆板銀は打刻されている文字や大黒、その打刻のされ方によって大きく価値が変わるからです。

 同じ普通の天保豆板銀でも、5gと30gでは価格は格段に違います。また、片面大黒か両面大黒か、同じ両面大黒であっても、"保"字か"寶"字か、その価値は様々です。さらに、同じ両面大黒でも、その大黒が何%入っているのか、両面とも100%完全に大黒が入っているものと70%しか入っていないものでは全然価格が異なります。ですから、いくら豆板銀を『普通品』・『片面大黒』・『両面大黒』などとカテゴライズしても、PCGSの数字、つまり"状態"だけでは豆板銀の価値は測れないわけです。

 例えば「天保豆板銀 MS64 最高鑑定」と言っても、何gなのか、ただの普通品なのか、両面大黒なのか、両面大黒だとしても大黒はどのように打刻されているのか、によって全く価値は異なります。そういうわけで、豆板銀と丁銀のような古銭にはPCGSのスラブ鑑定はあまり意味は無いように思います。PCGSも何でも鑑定して鑑定料を稼ぐ、という商売は如何なものかと思います。