もう皆様も御存知のように、日本貨幣商協同組合鑑定書の鑑定料金がこの11月から値上がりし、鑑定品の価格が10万円未満の一番安い鑑定料金でも11,000円(税込み)となりました。それまでは5,500円(税込み)でしたから、2倍に値上げされたわけです。諸物価高騰の折、鑑定料金も値上げして当然だ、というところでしょうか。貨幣商協同組合は、そのホームページで、この鑑定書が日本で唯一の公式の鑑定書であり、是非鑑定書を取得することをお勧めします、と謳っています。しかし、この値上げはその謳い文句に完全に逆行するものではないでしょうか。
例えば、市場価格が30,000円の天保丁銀、5,500円なら鑑定料は価格の約1/6ですが、11,000円なら約1/3です。鑑定書をつけると30,000円+11,000円=41,000円、うーん、大いに躊躇します。鑑定書をつけて本当に"pay"するのか、が焦点となるわけです。損する鑑定書など、誰も取るはずがありません。
コインの鑑定と言えば、今やPCGSとNGCが寡占状態となっています。わざわざ日本のコインの鑑定をアメリカまで送っているわけです。近代銭ならまだしも、日本語の読めない、古金銀の製造過程もよく知らないアメリカ人に鑑定を依頼しているわけです。どうしてでしょうか。色々理由はありますが、一番の理由は"数字が付き、ランクが決まる"からです。うまく数字が取れれば、想像以上の価値がそのコインに生まれるからです。自分は商売人ではない、売るつもりはない、と言っても、自分の持っているコインの価値が上がることは誰しも嬉しいものです。
日本貨幣商協同組合鑑定書には"そのドキドキ感"がないわけです。本物か偽物か、ただそれだけです。余ほど真贋が微妙な、1枚が高価な古金銀(大判や高級丁銀、高級地方銀貨)ならそれだけでも価値はありますが、今大半のコインの価値を決める最重要Factorは"状態"なのです。やっぱり日本貨幣商協同組合鑑定書も"状態によるランク"を表示するべきです。誰がランクをつけるのか。そのランク付けに有力者による圧力はかからないのか、彼らに対する忖度はないか。いろいろ解決しなければならない問題はあるとは思います。ただ、このままの鑑定書では裾野は広がらないように思います。この値上げを機会に、鑑定書の在り方を抜本的に見直すべきではないか、と思います。
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