前回は面(表)に焦点を当ててお話いたしまた。今回は背(裏)の"約束事"を見ていきたいと思います。
文政南鐐二朱銀の背(裏)には『銀座常是』の4文字が打刻されています。その中でまず注目すべき文字は"銀"です。面(表)では"南"
と"判"の2文字は第四画の方が第五画の上に書かれているのが銀座のシークレットだとお話ししました。故意に本来の書き順とは逆にしてあるわけです。背(裏)では同じルールが"銀"の字に採用されており、"銀"の字、金偏の第四画の横棒が第五画の縦棒の上に書かれています。この約束事に違反するものは偽物だと断定できます。
次に"常"の字を見て下さい。第四画と第五画が繋がっているものを"閉じワ常"と言いますが、文政南鐐二朱銀には存在しません。さらに、第四画と第五画、第六画と第七画、第九画と第十画が全て離れているものを"三あき常"と言いますが、これも文政南鐐二朱銀には存在しません。つまり、"閉じワ常"と"三あき常"は全て偽物だとわかります。
文政南鐐二朱銀の本物は次の3種類に限定されます。① "常"の第四画と第五画だけが離れている"一あき常"、② 第四画と第五画、第六画と第七画の2ヵ所が離れている"上二あき常"、③ 第四画と第五画、第九画と第十画の2ヵ所が離れている"上下二あき常"
の3種類です。この3種類を基本に、一目で偽物を見分ける急所があります。それは"銀"の字の金偏です。金偏の最終画、つまり第八画が第五画の縦棒のところで止まっているものを"欠金"、第五画の縦棒より右に出ているものを"正金"と言います。"一あき常"と
"上下二あき常"は"欠金"、"上二あき常"だけが"正金"となっているのです。多くの偽物がこのルールに違反しています。このルールを知っているだけで、すぐ偽物を発見できます。ただ、一つだけ例外があります。"一あき常"の場合でも、金編の第六画と第七画が"両斜点(2つの点がカタカナの"ソ"に見える)の場合は"正金"になっているので注意して下さい。
最後に、"是"の字の第一画と第二画が繋がっているものを"閉じワ是"と言いますが、"一あき常"にしか存在しまん。"上二あき常"
と"上下二あき常"なのに"閉じワ是"になっているものは偽物です。
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一分銀の山本 (日曜日, 02 2月 2025 12:05)
こんにちは。一分銀の山本です。
手持ちの文政南鐐二朱銀をチェックしてみました。すでに贋作確定品は銀字がアウトでした。その他は大丈夫でした。真贋(1)(2)は永久保存ですね。今後の収集は自信をもって進められそうです。
それにしても、約束事がこんなに多いとは。
勉強になりました。
ありがとうございました。
明日香津五(店主) (日曜日, 02 2月 2025 14:57)
一分銀の山本様
コメントありがとうございます。少しでも参考になれば幸いです。