日本貨幣商協同組合鑑定書取得の顛末記

 今、SNSやブログ、はたまた生の声で、日本貨幣商協同組合鑑定書(以後、組鑑と省略)取得に関する不満が問題になっています。その内容は、鑑定書代金が高いこと、返却までの期間、手続きの煩雑さなど、多岐にわたります。私自身も今年の3月に初めて組鑑を申請・取得するにあたり、多くの疑問や問題点があることに気が付きました。今回の私の経験を通して、さまざまな疑問や問題点を考えてみたいと思います。

 私は今年の3月の初めに、嘉永一朱銀Dcを入手しました。もちろん間違いのない真正品ですが、高価な古銭なので組鑑を取得することにしました。組合のホームページによると、組鑑を取得するには組合加盟店を通して申請することになっています。そこである組合加盟店(知り合いではない)を訪れてお願いをしました。するとお店の方は「お引き受けできない」とのこと。その理由を尋ねると、「鑑定が取れなかったりすると、このコインは自分が出したものではない、とか言ってごねる人がいるので・・」という話。確かに、郵送で受け付けているお店も、写真を撮って、プリントアウトして、それにサインをして下さい、などとホームページに記載しています。もちろん、申請者と組合加盟店が親しい場合はそんなことはないのでしょうが、何と面倒くさいことでしょうか。PCGSやNGCの鑑定を代理店に申請する時、そんな面倒なことはありません。一見さんでも、申請用紙に必要事項を記入して現物を代理店に送るだけです。私は「組鑑申請を受け付けるのは組合員としての義務やろ?」くらいに思っていたので、断られたことは少しショックでした。写真を撮って、プリントアウトして、サインして、東京の組合加盟店に送れば申請はできるのでしょうが、面倒くさいのでそのままにしていました。

 そんな中、知り合いが、私の知っているお店に申請してあげます、とのことで、無事嘉永一朱銀Dcは組合の鑑定へと旅立ちました。1か月ほどすると、知り合いから「返ってきました」との連絡があり、急いで現物と鑑定書を取りに出かけました。鑑定書を受け取って愕然としました。鑑定書は出たのですが、DcではなくDeとなっていたのです。友人が申請書にはDcだから間違えないでね、と但し書きをしてくれていたにもかかわらず、です。

 私が一番大きな問題だと感じたのは、DcをDeと間違えたことではありません。誰しも間違えやうっかりはあります。まあ、DcとDeを間違えるようではお話にはならないのですが、それはよしとします。問題は、鑑定料が16500円だったことなのです。組合のホームページには、「鑑定料は時価」と書いてあります。この「時価」とは、いったい誰が決めた価格なのか。誰しも不思議に思うところですが、それもこの際置いておきます。私は鑑定料は16500円だと思っていました。いくら昔ほどは高価ではないと言っても、Dcなら時価は10万円以上だからです。ところが、組合はDeの鑑定書で16500円を請求してきました。は?、と思いました。Deの相場は今、大体10000円前後で、かなり高かった時でも30000円くらいです。誰がどう評価すれば10万円以上の評価になるのか全く理解できません。人を馬鹿にするにも限度があります。誰が嘉永一朱銀Deの評価を10万円以上だと判断したのか教えて欲しいものです。それがわかれば、私はその評価をした人に、嘉永一朱銀Deを3万円でお譲りします。10万円以上の評価をする方なら、3万円なら喜んでお買いになるでしょう。現在、10000円くらいでいくらでも入手できるので、私は大儲けできます。

 たまたま、私の友人が組合加盟店と親しかったことで、すぐ組合に訂正を要求、組合もミスを認めてDcで組鑑を発行してくれました。もし私がこのDcを一面識もないない東京の組合加盟店に郵送で依頼していたらと思うと、ぞっとします。今回の騒動の中に、組合や鑑定書発行のプロセスに多くの問題点が内包することがはっきりとわかります。組合や組鑑など、そんなものですよ、と言ってしまえばそれまでですが、やっぱり少し残念な気がします。

 

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コメント: 3
  • #1

    一分銀の山本 (火曜日, 03 6月 2025 21:12)

    こんばんは、一分銀の山本と申します。生意気なようですが、日頃私が日本貨幣商協同組合に対して思っていることを書きます。まず高額な鑑定料ですが、低額な貨幣の鑑定をを排除し小判や金貨など高額な貨幣に絞りたいのでは?と疑っています。つまり、単価の低い仕事は忙しくなるだけで受けたくない。さらに、鑑定書は真贋の判定のみで状態の判定はありません。例えば一平方センチメートル当たりの傷の数を基準にするとか、手間は確かにかかりますが、方法はある筈です。
    言葉は悪くて申し訳ありませんが、怠慢体質な組織だと感じます。

  • #2

    明日香津五(店主) (火曜日, 03 6月 2025 22:44)

    一分銀の山本様、コメントありがとうございます。細かく言えばキリはありませんが、本当に山本様のおっしゃる通りだと思います。是非、真剣に収集家の声に耳を傾けて改革の第一歩を踏み出して欲しいものです。

  • #3

    一分銀の山本 (火曜日, 03 6月 2025 22:52)

    ある意味、江戸時代の株仲間が令和まで生きながらえているのでは?と感じてしまいます。