金・銀価格の高騰による懸念

 金・銀価格が高騰しています。世界情勢の不安や円安など様々な要因があるのでしょうが、私のような素人にはわかりません。本日現在、金1gは約26000円、銀1gは約530円です。あまりにも急激な高騰により、古銭を取り巻く環境も大きく変化しているように感じます。特に私が専門とする比較的安価な分金や分銀への影響が大きく、正直困惑しております。相場が上がるのだから良いことではないか、という考え方もありますが、やっぱりそれだけではないように思います。古銭の価値や人気が上がったのではなく、地金の価値が上がっただけだからです。元々高額な金銀貨は古銭価格に占める地金の価値の割合が低いので、全く影響がないとは言いませんが、まあ余り関係はありません。しかし、元々が廉価だった分金や分銀、旭日50銭銀貨や小型50銭銀貨などは地金高騰の影響をまともに受けています。

 金銀の比重が違うので正確な計算ではありませんが、ざっと計算してみたいと思います。

文政草文二分金 ➡ 少し前まで45000円くらいだったのですが、6.6g×0.5=3.3g。26000円×3.3=85800円。

元文一分金 ➡ 昔は12000円、少し前でも32000円くらいだったのですが、3.3g×0,65=2.145g。26000円×2,145=55770円。

元々は天保一分金>文政一分金>元文一分金だったのが、金の含有量で逆転。元文一分金>文政一分金>天保一分金となりました。

もちろん地金の価格だけで売買されているわけではありませんが、この地金価格が皆さんの頭の中に入っていての古銭相場になっているわけです。ですから、それぞれの古銭にどれくらいの値段をつけるか、微妙な問題です。わずかな期間で地金価格が急騰(急落)していることがあるからです。ほんの少し前、このサイトで元文一分金 PCGS AU58 を65000円で販売しておりましたが、なかなか売れませんでした。今、80000円以上になっています(笑)。

 私が一番懸念しているのは、比較的安く入手した古銭を潰し、地金にしてお金を儲ける人が増えることです。古銭が原型を保って売買され、持ち主が変わることは何の問題もありません。昔から続いている営みです。まあ、日本の古銭は日本の財産ですから日本人に持ってもらいたいという思いはありますが、現在の日本の経済力を考えれば無理なことかもしれません。しかし、古銭はコレクションとして人から人へと伝えてもらいたい、という思いは強いです。日本の古銭は日本の宝です。お金を出して買った持ち主と言えども、それを粗末に扱ってはいけないと思っています。一時的に預かっているだけです。例えば、世界の大富豪がゴッホやルノワールの絵画を次々と買い、それを燃やせば人類に対する冒瀆ではないでしょうか。ゴッホやルノワールの絵画と元文一分金1枚が同じだとは言いませんが、文化遺産を後世に大切に伝えるのは私たちの務めだと思います。

 今、一番の心配は天保一分銀です。銀1gが500円を超してくると、500円×8.6g=4300円の地金価値があることになります。天保一分銀はほぼ純銀ですから、潰して地金にし易いかもしれません。潰すのにどれくらいのコストがかかるの私には知識はありませんが、状態の悪い天保一分銀ならまだ3000円程度で買えます。お金持ちの某国の人たちに買い占められて潰されるのではないか、と心配です。あれ、最近天保一分銀少なくなったなぁ、なんてことがないことを願っています。