入分玉座一分銀 Ia

 以前から欲しいと思っていた一分銀の一つは、入分玉座一分銀の表I型で、このたびやっと入手できたので御紹介致します。皆様も御存知のように、入分玉座一分銀には、大きく分けて2つのタイプが存在します。既存の安政一分銀の極印を用いて"分"だけを"入分"に手直しした表A・F・Gと、新しく極印を製作した表I・Mの2タイプです。前者にもAeという非常に入手しにくいものもありますが、全体的には入手は容易で、状態にそれほどのこだわりがなければすぐに完集できます。しかし、後者の2タイプは大変な珍品で、滅多に見ることはありません。私も以前に綺麗なMaを入手し、PCGS MS64を獲得したことが1回あるだけで、表Iは所有したことはありませんでした。

 昔から入分玉座一分銀は安政一分銀のカテゴリに入れられてきましたが、やっぱり明治一分銀の先駆け(玉一玉座一分銀とともに明治新政府が最初に手掛けた一分銀)と考えるのが自然だと思います。銀座を接収した明治新政府が、旧幕府が製造した安政一分銀との差別化をはかるために、大急ぎで玉一玉座と表A・F・Gの入分玉座一分銀を製作したのだと思います。

 次に製作されたのが新しい極印の表IとMだと考えられます。ともに"銀"字の"艮"が短柱です。この特徴は安政一分銀には見られないもので、明治一分銀の表KやMに共通する特徴です。さらに、この特徴は明治一朱銀の表SやTにも見られるものと同じです。入分玉座一分銀の表I型の"銀"と明治一朱銀の表T型の"銀"がほぼ同じ書体なのは皆様も御存知の通りです。

 この度やっと入分玉座Iaを手に入れました。私がスラブに入れたのではなく、スラブ入りの素晴らしいIaに偶然巡り合えました。未洗いのうぶなIaで、表Iの細い「一分銀」という文字も大変鋭利に打刻されています。画像を拡大して是非御鑑賞下さい(このIaは売り物ではありません。御了承下さい)。